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少年は二人に語る。
遠い約束の話を。
翼を持つ天使と海を泳ぐ人魚が出会うと、世界に変化が訪れる。
約束が何かと尋ねると、愛し合う事だと少年は答えた。天使と人魚は顔を見合わせて笑った。
こうして出会っても何も起こらないなら、おとぎ話は空想だ、と天使が笑う。その時、空の上から降る雨が落ちて来た。
空を見上げる三人。人魚は口にしてみる。海の底には空があるのかもと。空の上から降るのは海水で、海の底にあるのは空だと。
天使は海を見下ろす。どこまでも海だと言う海を。どこまでも空の空は、海に繋がっているのか?
上から落ちて下に行き、そしてまた上へ戻る。空の上に行けないのも、海の底に行けないのも、互いがそこへ行けないからなのかも。
人魚の言葉に少年は言う。
ならば、同じ場所に向かって行けば、向こうで会えるのでは? と。
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