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ザクッザクッ…
談笑する彼らの所に、一つの足音。
「お。田中の奴、トイレから帰って来たな。」
「宮藤君、僕ずっといるんだけど…?」
「うおぅっ!?」
ナイターも消えた薄暗いグラウンドで、足音は止まった。
『まったく、ナイター設備も毎晩使われちゃあ電気代が嵩むんだよ、野球部諸君?』
「チッ…」
夏樹は軽く舌打ちをする。
突然の来訪者である校長・【大道 進次郎】は嫌らしい笑みを浮かべる。
「人数は揃ったようだが、勝てる算段はできてるのか?我が校の恥であるクズ集団達?」
「何だと…?」
「落ち着け時雄。」
和也は何とか時雄を押さえ込んだ。
「お言葉だけどさ、校長先生?」
初対面である翔は(厳密には違うが…)笑顔で大道と面と向かう。
「ヤル前から決めつける勝負ほど、つまらんモンはねぇっスよ。」
満面の、だがそれでいて敵意剥き出しの笑顔は大道の足を後退させた。
「やってやるよ、勝ってテメェのツラ青くしてやるから覚悟しとけよ。」
時雄の言葉はどこまでも冷たかった。
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