第13球ーNinesー

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ザクッザクッ… 談笑する彼らの所に、一つの足音。 「お。田中の奴、トイレから帰って来たな。」 「宮藤君、僕ずっといるんだけど…?」 「うおぅっ!?」 ナイターも消えた薄暗いグラウンドで、足音は止まった。 『まったく、ナイター設備も毎晩使われちゃあ電気代が(かさ)むんだよ、野球部諸君?』 「チッ…」 夏樹は軽く舌打ちをする。 突然の来訪者である校長・【大道 進次郎】は嫌らしい笑みを浮かべる。 「人数は揃ったようだが、勝てる算段はできてるのか?我が校の恥であるクズ集団達?」 「何だと…?」 「落ち着け時雄。」 和也は何とか時雄を押さえ込んだ。 「お言葉だけどさ、校長先生?」 初対面である翔は(厳密には違うが…)笑顔で大道と面と向かう。 「ヤル前から決めつける勝負ほど、つまらんモンはねぇっスよ。」 満面の、だがそれでいて敵意剥き出しの笑顔は大道の足を後退させた。 「やってやるよ、勝ってテメェのツラ青くしてやるから覚悟しとけよ。」 時雄の言葉はどこまでも冷たかった。
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