第13球ーNinesー

15/16
前へ
/777ページ
次へ
白雲高校に、茜高校のメンバーは全員遅れる事なく集まった。 初めに出迎えたのは、敵チームの白雲高校野球部。 相手主将は笑顔で迎えてくれた。 「ども。俺は主将の江田です、今日は宜しく頼んます。」 「あぁ、宜しく頼むぜ。」 「お互い良い試合しましょうね、夏に向けて。」 (夏樹さん、相手1コ上スよ。) 態度だけは一端の夏樹に仲間内ながら全員が引いた。 ベンチに荷物を降ろすと、アップをすべく外野に向かった。 「……な~んか、気に喰わないねぇ。」 翔は不満気にランニングで身体を温めていた。 疑問を抱いたのは赤星、丸い目で翔を見る。 「何が?江田さん結構良い人じゃん、あんな笑顔でさ…」 護や和也など、何人かも賛同して首を振る。 「そうかぁ…?あんなに舐められて?」 だが翔は顎で敵ベンチを指す。どうやら相当気に食わないようだ。 そんな時、静かだった時雄が口を開いた。 「あんの爽やかキャプテンが、俺らの事眼中にも入れてねーじゃねぇか。何が夏に向けてだ、俺らの事練習相手としか見てねぇぞ、アイツら。」 『え。』 遠目に見えてしまった、相手ベンチの空気の緩さ。完全にウチを格下と舐めていた。 「この試合、校長との約束もあるけど、もっと負けられないな。」 和也は拳を強く握った。 「男として、負けられねぇ。」 早朝のアップを、全員が余念なく行った。
/777ページ

最初のコメントを投稿しよう!

402人が本棚に入れています
本棚に追加