第13球ーNinesー

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整列する両チーム。 『……。』 片や、キレイに統率された集団。流石は去年神奈川県ベスト16である、風格も一端だ。 『バカ、ちゃんと並べって!』 『痛っ!誰かスパイクで足踏んだって!』 …片や、何かと大人しくなれない集団。統率が全くと言って言い程になさすぎる。 「宜しく。」 「え、あ…おぉ。」 敵チームの主将と夏樹が手を重ねた。 『礼っ!』 『っしゃあぁぁぁっす!!』 怒号に似た礼節が、戦いの火蓋を切って落とした。 先攻の茜高校はベンチに戻る。 対し、後攻の白雲高校はそれぞれ守備位置に着く。 『負けんなよー!アカ高っ!!』 緊張感が高まる中、ベンチ裏から聴き覚えのある声がした。 そこにいたのは、野球部の数少ない応援者である穂波、立花、理太郎、そして芹沢である。 「美奈江ちゃぁーん!来てくれたんだね!!」 「試合に集中しろ、タコ。」 和也の下心は時雄にぶった斬られた。 『ボールバックー!』 ボール回しも機敏に行い、準備は整った。 運命の初試合、プレイボール。
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