第13球ーNinesー

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ドタドタ… 早朝に響く、階段を駆け下りる音。 居間に入れば、実妹がトーストを頬張っていた。寝起きか、目が少し細い。 「あ、おはよー時兄。」 「オス、ん?真希お前…身長伸びたか?」 時雄の問いに真希は眠気を瞬時に吹き飛ばした。 「分かった!?1cm伸びたんだよ!!1cm!!ヤバくない!?」 「そんだけかよ…」 「そんだけとは…何様じゃあぁぁ!?」 「うぉ!?おいバカ!落ち着け真希!ちょ…父さん母さん!!コイツを止めてぇぇぇ!!」 朝から騒々しい宮藤家。いつもと変わらない日常だが、一つだけ以前と変わった事がある。 「じゃ、朝練行って来まーす。」 「おっ?気をつけろよ時雄。」 「ん。」 トーストを咥えて玄関内に止めてある自転車を転がす。 「時雄、雪雄に線香は?」 「あ。」 母・翔子に言われ、日課を忘れていた事に気付く。 仏壇に備えられた無垢な笑顔を浮かべる実兄・雪雄。 「行ってくる、兄貴。」 『大丈夫、できるさ…なんたって俺の…弟だから…よ。』 「兄貴…」 兄からの最後の言葉を思い出し、自転車を走らせた。
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