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僕は慌てて立ち上がる。
それからレジャーシートを掴み、川沿いを無我夢中で走った。
違う世界には行きたい。
死後の世界も見てみたい。
それでもまだ、死にたくは無い。
「……ッはぁ、はぁ……!!」
息をきらして走った。
あまり、というよりかなりスポーツが苦手な僕は、今までにないスピードを出している気さえするくらいに。
無我夢中で、山の坂道を下る。
それでも音は、瓦礫は僕に付きまとう。
音はさらに大きくなり、僕の背後で爆音へと変わった。
瓦礫の直撃は免れた、が。
「うぅわぁああああああああああッ!!!!」
山の坂道は衝撃で崩れ、上から土砂が流れてくる。
僕は岩や木に当たりながら坂道を落下していき、土に叩きつけられたのを最後に、意識を手放した。
僕は一体、どうなってしまうのだろうか。
あれから、どれくらいの時間が経ったのか。
僕は仰向けに倒れていて、空には満天の星が輝いていた。
数分か、数時間か。もしくは数日が経過しているのか。
そして、ここは僕の知るあの山だろうか。
疑問は募るが、答えが浮かばない。
とりあえず僕は、場所を確かめようと起き上がろうとした。
「ーーッ痛ァ!?」
すると、左腕にのみ、強い痛みが走った。
僕は、おそるおそる左腕を見る。
長袖を着ていたため、傷は確認出来ないが、血は滲んでいないため、切り傷の類いでは無いことがわかった。
ならば、打撲や捻挫だろうか。
僕はそのまま立ち上がる。
ここが異世界なら服装が変わっている可能性もあるだろうと、僕は、楽観的に考え、服装を確認してみる。
が、元々着ていた服となんら変わりが無かった。
となると、余計に左腕の痛みが気になり、僕は袖を捲った。
「……は?」
見えた僕の腕には、何も傷は無かった。
が、真っ赤な剣の刺青が、腕に施されていた。
僕は学生だ。しかも風紀委員会所属の中学3年生である。
そんな僕が、わりと真面目な方の僕が、刺青を施す訳がない。
「一体誰が……!?」
今まで僕につきまとっていた痛みは何故かもうない。
僕は袖を戻し、今さらだが周りを見渡してみる。
「……え!? えーと……ここ、何処!?」
そこは、僕の知る山の景色ではなく、僕が居るのは所謂崖で、そこから見えるのは、見たこともないような都市だった。
大事なことだ、もう一度言おう。
「ここッ、何処なのぉおおおおお!?」
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