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第一章 幕引き
四方八方に広がる見たことのない景色。
本当に、夢にも出てこないような場所。
背後に生い茂る木や草花とは全く正反対の、栄えた都市が僕の目を話さない。
よく見ると都市と僕の今いる崖を繋いで一つの島となっている様で、周りには海が広がっていた。
中心部の大きな城を取り囲むようにして、思い思いの色で並ぶ建物。
そこに統一性は無くても、自然と不快感は無く、むしろなにか魅力を感じる。
周りの海には、月明かりを反射して、いつもテレビや雑誌で目にする海の色とは違う美しさがある。
空を見上げると、たくさんの星が散らばっていて、それはまるで、砕いた宝石の様に美しい。
そのなかに一際大きく、蒼く光る月。
それもまた、僕を魅了した。
「おねーさん、おねーさん」
「あなたはだあれ?」
景色にすっかり夢中になっていた僕に、歌うように声を掛ける子供の声。
僕は突然の“誰か”の登場に驚いて、しかしゆっくりと後ろを振り返る。
そこには藍色の制服のようなものをまとった、少年少女が僕を見上げていた。
少年が歌うように言う。
「部外者はさよならバイバイ」
少女も歌うように言う。
「愚者でもさよならバイバイ」
「でもきっと海は貴女をかんげーい!」
「でもきっと空も貴女をかんげーい!」
2人は顔を合わせたり、手を合わせたりしながら歌うように続ける。
「貴女を僕が招待しましょう!」
「貴女を私も招待しましょう!」
2人は僕の手を掴んて、最後は息をそろえて言った。
『ここは君を知らない世界!ここは君の知らない世界!さぁさぁ僕らについてきて!物語は始まったばかり!』
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