6人が本棚に入れています
本棚に追加
2台は通れる道幅だが、前に控えるのは直角の左コーナーだ。
インに付くポルシェ。
ポルシェがアウトに膨らめば、レオのゾンダはガードレールを突き破り山肌をロックンロール……。
クラッシュは即敗北。
というかレーサー人生、いや、自分の人生が危うい。
「それがテメェらのやり方かよ!!!!」
レオはさらにブレーキを踏み込む。
悠々と横を抜けるポルシェ。
しかし果敢な走法以上にカレラの運動能力に驚く。
150キロは出ている。
それなのに、直角コーナーを浅いブレーキで当然のように駆け抜けた。
だが、オーバースピードに変わりはない。
さらにその次に控えるのは鋭い右ヘアピンだ。
死んだな、アイツ。
早くも勝ちが見える。
あのスピードでは、いくらポルシェ・918といえど振り向ききれない。
レオはまたブレーキをかけた。
豪邸並のスーパーカーがどうクラッシュするのかを見物する為だ。
さぁ、コーナーへ。
ポルシェが悪足掻きのブレーキを踏む。
「ッ!!!!!!!!」
……曲がった。
曲がりやがった。
クソッ……曲がりやがった!!!!
おかしい、おかしすぎる!
舵角は正常だった。
とてつもない減速をしたわけでもない。
不自然すぎる。
まるで道路にレールが敷かれていて、その上を走り抜いたかのようだった。
続いてレオもヘアピンへ。
もちろんレールなんてどこにもない。
レオのゾンダがパスされた。
ミラノ最速と持て囃されたあのゾンダが。
たった二つのコーナーで。
最初のコメントを投稿しよう!