待ってくれない女

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2台は通れる道幅だが、前に控えるのは直角の左コーナーだ。 インに付くポルシェ。 ポルシェがアウトに膨らめば、レオのゾンダはガードレールを突き破り山肌をロックンロール……。 クラッシュは即敗北。 というかレーサー人生、いや、自分の人生が危うい。 「それがテメェらのやり方かよ!!!!」 レオはさらにブレーキを踏み込む。 悠々と横を抜けるポルシェ。 しかし果敢な走法以上にカレラの運動能力に驚く。 150キロは出ている。 それなのに、直角コーナーを浅いブレーキで当然のように駆け抜けた。 だが、オーバースピードに変わりはない。 さらにその次に控えるのは鋭い右ヘアピンだ。 死んだな、アイツ。 早くも勝ちが見える。 あのスピードでは、いくらポルシェ・918といえど振り向ききれない。 レオはまたブレーキをかけた。 豪邸並のスーパーカーがどうクラッシュするのかを見物する為だ。 さぁ、コーナーへ。 ポルシェが悪足掻きのブレーキを踏む。 「ッ!!!!!!!!」 ……曲がった。 曲がりやがった。 クソッ……曲がりやがった!!!! おかしい、おかしすぎる! 舵角は正常だった。 とてつもない減速をしたわけでもない。 不自然すぎる。 まるで道路にレールが敷かれていて、その上を走り抜いたかのようだった。 続いてレオもヘアピンへ。 もちろんレールなんてどこにもない。 レオのゾンダがパスされた。 ミラノ最速と持て囃されたあのゾンダが。 たった二つのコーナーで。  
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