4、正直者と無責任――続き

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「手首の送り主は、ナッちゃんの親友の丸山千沙希さんだった。しかし、丸山さんは送った覚えがない。  手首が届いてすぐに、エイルで剣助さんからダイレクトメールが届いた。で、謙介さんを見つけなければナッちゃんの秘密を世間に公表してやると脅してきた、と」  ノートには、「手首」「丸山千沙希」「エイル」「ダイレクトメール」「剣助」「脅迫」とキーワードを書いていく。 「丸山さんて、広島に住んでるの?」 「ううん、今は福岡だけど。どうして?」 「本当に、丸山さんは何も知らないのかなと思って」  ナツメはぎょっとして、即座に答えた。 「だと思う。あの子、SNS嫌いだし、仕事忙しそうだし、クリエイター活動してないし。エイルに登録している可能性はないと思う」 「ゼロではない、かなあ。ほら、創作活動とかってさ、リアルの知人に内緒でやる人も多いっしょ」  ナツメが眉を潜めたのを見て、凪人はボールペンを横に振った。
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