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「最後まで読んだ時に、胸の内に例えようもなく、美しいものが残りますから」
穏やかな笑みで、胸に手を当てて言うホームズさん。
――美しいものが残る。
「剥き出しの感情の果てに、傷ついて動けなくなって、ようやく顔を上げた時に見える光景は、とても美しいものなんだということを教えてくれるんですよ。
自分の父親ながら、本当に素晴らしい作家だと思っています」
屈託ない笑みを向けるホームズさんに、なんだかバツの悪い気分になった。
「……ホームズさんは、店長さんの胸の内を知っていたりしますか?」
きっと彼なら、自分の父親のこともお見通しなのかもしれない。
そう思いながら、静かに問うた。
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