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「あ、いえ。私は次女で、いずれ家を出て自由にできる身なんです。
だけど姉は、婿を取って家を継がなければいけない身。だから家の名誉の為に良い学校に行くのも、習い事も当然だと思っているんです。
そんな姉を尊敬すると同時に、気の毒に思う部分もあるので、出来る限りサポートしてあげたいと思っていまして。
姉は、器量はいいんですけど、本当に他はてんで駄目な人なんで」
と明るい笑顔を見せた香織さんに、私まで晴れやかな気分になるようだった。
「って、お母ちゃん、そろそろ社務所に行かへんと」
その後すぐに、腕時計を目にしながら言う香織さんに、宮下母と佐織さんはハッとしたように顔を上げた。
「そやね。それでは、清貴さん。この度は、身内のことでお騒がせいたしまして、本当にありがとうございました。あの、できれば、このことは……」
「ええ、誰にも口外しませんので、大丈夫ですよ」
その言葉に三人は安心したように息をつき、深々と頭を下げて、そのまま本殿の方へと歩き出した。
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