第三章 『百万遍の願い』

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――― ――――― ―――――――― 京都も六月に入り、梅雨の季節となった。 静かなジャズが流れる、『蔵』の店内。 店長が原稿用紙にペンを走らせる音が響いていた。 私はバインダーを手に、商品をチェックしながら、ふと手を止めて窓の外に目を向ける。 しとしとと降り続いている雨。 ――まるで、空が泣いているようだ。
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