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「それじゃあ、いってきまーす」
4月はじめの土曜日。
念入りに髪を整え終えた私は、ドタバタと階段を駆け下りて玄関へと向かった。
「こら、葵、階段を駆け降りない!」
リビングから顔を出して、声を上げる母に、
「はーい」
簡単な返事をして、スニーカーに足を滑らせる。
「今日はバイトなの?」
「うん」
「それにしては、出るの早くない?」
時計を確認しながら尋ねる母に、
「今日はちょっと、自転車で遠回りしようと思って。
それじゃあ、いってきます」
改めてそう言って家を飛び出て、そのまま家の前に置いてある自転車に跨った。
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