無謀な憧れ

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会議の時間が近づくと地方の研修センターからもたくさんの社員が集まった。 「藤森さん!研修ありがとうございました。」 「業務はスムーズになりましたか?」 「あのソフト凄いですね。藤森さんから教わった通りにやって順調に移行が終わり平常に戻りましたよ。」 「もう…あんな研修でほんとお恥ずかしいです。でも私と違ってあのソフトは驚くぐらい凄いんですよね。」 「早く使えるようになったのは藤森主任のお陰なんですよ。」 「滅相もない。市田さんの指導の成果ですよ。」 「藤森さんお久しぶり。老舗の小澤ですよ。」 「小澤さんお久しぶりです。」 ソフトの移行があったお陰で顔見知りがいっきに増えた。 それなのに私はいくら森だと名乗っても 「藤森」と呼ばれ続けるのは、もうねこまんまや老舗と同じ屋号のようなものだと思う。 藤森の森さん…そんな感じだ。
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