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「…んぷっ‥。」
職員室中に鉄の匂いが充満してくる。
この匂いだけで吐き気がこみ上げてくる。
「!?」
突然足音が増えた。
それも数体だ。
その数体の《何か》は皆同じ方向に向かい、ゾンビを貪りだした。
「…。」
ただ、1人。
確認する事が出来ない敵の側にいて、いつ見つかるかわからない状態で胸の心拍数が上がっていく。
ーーヴー‥ヴー‥
「!?」
ポケットに入れていたスマフォのバイブ振動が突然職員室にいるものに知らしめた。
よりにもよってこんな状況で…。
「!」
バイブ音に導かれて来る様にヒタヒタと不気味な音は沙乃の机の側に近づいてくる。
ーーヒタヒターー
ーーヒタヒターー
椅子を通して沙乃の目の前には青紫色の鱗が生えた足が見える。
「……。」
恐怖が絶望に変わる時、人は声が出せなくなるんだと何処か頭の中で冷静に考えている沙乃がいた。
下に向かい見せた顔は。
けして人のものではなく
無数の眼玉をつけた全身鱗の化け物だった。
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