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「とにかく、こっちへ…。」 隊員がそう言いつつ沙乃の腕を引っ張った時だ。 「!?」 「ちょ!聖月!!」 聖月が隊員の顔面に向かって銃を構えた。 「悪いんだけど、俺ら急いでいるから。」 離せと言うような目で彼を銃で威嚇する。 「な…んで。銃なんか…。」 「お前に関係ない。いいから離せ。」 けして、威嚇だけではすまない。 本気で殺しにかかる様なその目に恐怖心が芽生える。 一寸の隙も見当たらない聖月に答えるべく渋々、沙乃の腕を離した。 「…あんたも逃げるなりなんなりした方がいいと思うよ。」 隊員にそう言うと聖月は沙乃を連れて歩き出した。 「すみません!…けど!本当に早くこの町から離れて下さい!!」 1人残された隊員。 「…綺麗なコだったな…。」 沙乃を連れ走り去る聖月を見ながらそう呟いたのは誰も知らない。 都心部に戻って来た町の現状は最悪だった。 ゾンビと人間の殺戮ゲーム。 まさにその言葉が似合うであろう。 都心部なら仁達とも合流出来る場所でもある。 「…。」 沙乃は念の為、史也に電話をした。 着歴があれば彼から連絡が来るかもしれない。 「初めからそうすればよかったんじゃない?」 「‥そうね。繋がる繋がらないは別としてそうしとけばよかったよ。」 聖月に言われて少し後悔した。 結局は史也に電話は繋がる事はなかった。 彼が無事なら着信に気づいて掛け直してくれるだろう。 無事ならの話だが…
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