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《クロノス》と言うよろず屋が犯罪組織の会社だと言うなら、自動的に聖月も犯罪に加担している事になるだろう。
「聖月先輩‥。」
渚は昔の聖月のイメージしか持っていない。
どちらかと言えば成績上位で真面目な優等生タイプで、誰に対しても笑顔で対応し、部活でも後輩に慕われていた。
けして、裏業界に手を出すような人間ではない。
「聖月が~?!ないない!!笑顔振りまくより先に足で蹴り上げてくるぞ!」
「部活入ってたとか初耳なんスけど。別人じゃないの?」
「慕うって言うか、その後輩達変な信仰心芽生えてただけだろ?」
「みー君、ストーカー作るの上手いからね!」
「…お前もその中の1員だって気づいて?」
仁と直樹の会話の聖月と渚の聖月のイメージが一致しない。
本当に別人のようにも感じている。
「…ぇ‥あの人さんですよね?」
「旧姓はね。今は養子になって《氷野 聖月》を名乗ってるよ。」
養子と言う言葉にひっかかった。
聖月は行方不明者で捜索願いが出ていたはずだ。
「俺ら裏業界の人間よ?性を変えるのなんて簡単だし、《長元 聖月》の死亡届けも出されてるはずだ。」
「…ぇ‥じゃあ元の両親はその事は‥。」
「死亡届けを出したのは両親だよ。」
ある少年の死体を整形させ聖月だと思わせ、両親に死亡届けを出させたと言う。
クロノス上層部の知り合いにも検視官がいて一緒に立ち会いの元、2人を納得させたと言う。
「そんな話‥知らなかった…。」
史也はその事を知っているのだろうか…。
「まぁ、あんな姿で息子が帰ってきても両親が気の毒だ。」
そう言って少し遠い目をする仁。
確かに聖月の姿は昔と比べて髪から身体、瞳の色素まで日本人離れしている。
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