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都心部の大きな交差点の前にやって来た沙乃と聖月。 目の前の交差点は地獄絵図だった。 人間の死体が一体、何十体あるのだろうか。 交差点のど真ん中に戦車が3台集まって、まるで交差点を封鎖しているように止まっていた。 その先から銃声が響き渡ってくる。 聖月は腕にはめてある時計を覗き込んだ。 時間はもうすぐ12時を回る。 「春日中に壁が出来る時間だ。」 「え?!」 数年前に山や海、春日の最端部まで、人々が知らない間に鉄の壁が密かに作られていたのだ。 つまりは、数年前から春日にウィルスを放つ事が決定されていたと言うわけだ。 「…っ。」 よりにもよって9年後の今。 歴史は変えられなかった。 「沙乃。」 戦車の奥から見える屍達がゆっくり起き上がる。 「…分かってる。」 考えている暇などない。 沙乃は銃を握り締めた。
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