5人が本棚に入れています
本棚に追加
私が日課にしている散歩の、丁度折り返しの辺りの公園にベンチと自動販売機がある。
自動販売機で寒いときにはホットの烏龍茶、暑いときにはよく冷えた緑茶を飲みながらベンチで休憩。
そんな何気ない日常のワンシーンであった筈なのに。
彼らは何の前触れもなくやって来た。
私が座るベンチの真横に自動販売機はあるのだけど、わいわいと何か騒ぎながらやって来る少年達。
時間的に学校の帰りかな?中学生くらい?
そんな事を思いながら何気無く眺めていた彼らは、私と目が合うと軽く会釈をしてくれ。私もそれに倣って返す。
どうやら目的は自動販売機だったらしくて、相変わらず三人で楽しそうにしながらどれにするか?なんて相談をしている。
私はそれを何となく聞きながら、ぼんやりと晩御飯は何にしようかと考えてたのだけど。
「うっわ!?やべぇ!?買えねぇじゃん!?」
悲痛な叫びに思わずそちらを見ると、既にコーラとアクエリアスを手にした少年の傍らで。
財布を開いたまま酷く狼狽えている少年が居た、何事かと残る二人も財布を覗き込み。
「うわ!?なんだこりゃ!?」
「ちょ!?お前マジでか!?」
沈痛な面持ちの少年とは裏腹、何故か二人は大爆笑。一体何が起きていると言うんだろう。
そんな私の疑問に答える様に、彼は言い放った。
「換金し忘れて、ドルしか入ってねぇ!?」
「ぶはっ……」
思わず飲んでいた紅茶を吹き出しそうになった。
最初のコメントを投稿しよう!