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って言うか、呼び方がおかしいだろっ!絶対悪ノリしてたどっちかだよっ!
そう思って顔を上げた私は、もう限界で声を出して笑ってしまった。
「どうか……どうか我らにご慈悲を」
「ごめん、ちょっと待って……なんで水泳帽!?」
「水泳帽ではありません、これは宣教師の位を示す霊験あらたかな……っ……その、すぇいぶぅーなのです!」
絶対今考えた!絶対今考えた!しかもそれ水泳帽をそれっぽく言っただけだよね!
言い返したいけれども、もう私の腹筋は崩壊してしまって笑うしか出来ない。すぇいぶぅーって、すぇいぶぅーってっ!?
霊験あらたかって……もう滅茶苦茶じゃないかっ!
「宣教師様っ!そちらの方はっ!」
「もしや、女神様ですかっ!?」
しかも今一冷めたリアクションをしてた子なんだぜ、すぇいぶぅー君……。
そして悪のりコンビの食い付きも迅速だ、誰が女神だ誰が。これは絶対私がお金を出す流れなんだろう……。
いや、面白かったからジュースくらい全然奢るけどさぁ!
「あー、ごめんね。全部聞いてたよ」
流石に申し訳無くなって、苦笑いしながらそう言ったんだけど。
「流石は女神様!全てを知っておられると!」
「あぁ、なんて神々しいんだ女神様っ!」
「女神様っ!宣教師として一生貴方にお仕え致しますっ!」
なんでそうなるんだよっ!そろそろ悪のりは終わりで良いじゃん!
流石にここまで来ると私が恥ずかしいし、さっさとお金を渡そうと財布を取り出しかけたんだけど。
そう言えば、散歩の時は小銭しか持ってきて無かったんだ……。
今日は200円持ってきたから幸い70円のお釣りがあるけど、すぇいぶぅーの彼と合わせても実質90円しか無い……!
だがしかし、私にキラキラとした視線を向けてくる彼らを失望させて良いんだろうか。いや、良くない。
考えろ、考えるんだ私!彼らを失望させずに私がこの場を切り抜ける方法をっ!
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