第1章

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「声にって…初めて言われたなそんなこと」 へ? 「そうですか」 「見た目で判断されることはよくあるけど、声から言われたのは初めて。それが嫌で飲み会とかあんな眼鏡とかして行くんだけどね」 へぇ 「だって声素敵なんですもん。顔見せてくれたのなんて、声聞いた後でしたし…」 「君変わってるよね」 わー。また言われた。 「よく言われます」 「かなりマイナス思考っぽいし」 うっ。 「治したいんですけどね」 「そっか。じゃあ俺と居ればなおるかもよ」 は? 「え?」 「君、名前は?」 あーそっか、名前教えてなかった。 「優美です。吉岡優美」 「優美ちゃんか。じゃあ優美でいいよな」 いきなり呼び捨てですか! 「はぁ」 「俺は直哉でいいから」 えー!いいんですか! 「……」 「顔赤いけど…嫌?」 まさかぁ 「嬉しすぎて困ってます。私、弟以外を呼び捨てにしたことないから」 「弟さんいるんだね」 「兄もいるんです。3人兄弟で……」 あー余計なこと言ったかな。 「そうなんだ。とりあえずリフト行こうよ」 「あーはい」 そうでした! 一緒に滑ってくれるなんて奇跡!楽しまなきゃ! これを素敵な思い出にして、帰ろう。 明後日からまた仕事だし。 短大出て就職して…… 毎日忙しくて、唯一の息抜きがスキーなんだもん。 「そういえばさ、一緒に来てた子たちと優美だけなんか雰囲気ちがうよね」 「会社ではみんな大人しいんですけどね。プライベートはあんな感じみたいです」 私も最近知ったんだけどね。 「へぇ。じゃあ優美は普段からこういう感じなんだね」 へ? 「優美結構可愛いのに、ナチュラル系のメイクだし」 可愛い?! そんなぁ 「可愛くないですよ私なんか……」 「やっぱマイナス思考だね。私だってモテるんだからー!くらい思ってればいいじゃん」 なんですかそのプラス思考は!! 「無理ですよぉ。モテないですし。可愛くないです」 恥ずかしながら、彼氏いたことないもん。 「どこ住んでんの?こっちの人?」 「あー、東京です」 端っこだけど…… 「そっか残念」 え?残念?? 「残念?」 「ん?あーなんでもない。楽しんでいってよね」 「あーはい」
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