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◇
リフト終了までいっぱい滑った。
楽しかった。
そういえば携帯全然見てなかったけど…
「あ……」
「ん?」
「あー、みんなからメール入ってたんだけど、このまま遊ぶから宿戻らないって……なんかみんな滑るよりも、そっちがメインだったのかな」
ちょっと切ない。
「え?じゃあ宿に1人なの?」
「そう…なりましたね」
最悪。
「じゃあ俺泊まろうか?」
は?
「いや、結構です。今日会ったばっかりの人とそんな…」
なにこの人こんなに軽い人なんだ。
「冗談だよ」
「からかわないでください」
もう!
「ほんと優美だけ真面目だよな。他の子はあいつらと遊んでんのに」
あー。
でも私には無理。
そりゃあ一目惚れだけど…
「失礼します。今日はありがとうございました。もう会うこともないと思いますけど、楽しかったです。さよなら」
「おい!」
え?なんで掴まれてんの私。
「なんですか?」
「すっげー冷たくない?もう会うことも無いだなんてさ」
「実際に無いですよね」
「飲み会で会えたのに?」
あー…
「………」
「お友達が俺の仲間と仲良くなっちゃえば、また会うかもよ」
「ないですよ。たぶんあの子たちとスキーにはもう来ないと思いますから」
「そんな薄い関係なの?」
「えぇ。職場の同僚なだけですから」
「自分から壁作る気?」
へ?
「………」
「なーんかほんと変わってんね。自分に自信なさすぎだよ。彼氏いたことないでしょ?」
うっズバッと……
「彼氏なんていませんよ。別に気にしてませんし」
嘘。本当はめちゃめちゃ焦ってる。
「ふーん。じゃあもしまた会えたら、その時は……いいことしよっか」
はあ?
なにこの人。
「会わないですから。それにそんなこと……」
あーダメ。
妄想癖が……
こんなところで発動しないで……
この人の声でもし……
やばい。
「ん?なんか勘違いしてない?いいことって、一緒に滑るってことだけど……」
え?
わー!
「かっ勘違いなんかしてませんよ」
「そお?顔赤いけど?なんか想像しちゃったのかと思ったー」
くはぁー。
そんな笑顔で……
からかわれてる私。
「やっぱ面白いね。優美みたいな子初めて会った。また会えるといいね。引き止めてごめん。じゃあね、さよなら」
「さよなら」
行っちゃった。
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