第1章

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◇ リフト終了までいっぱい滑った。 楽しかった。 そういえば携帯全然見てなかったけど… 「あ……」 「ん?」 「あー、みんなからメール入ってたんだけど、このまま遊ぶから宿戻らないって……なんかみんな滑るよりも、そっちがメインだったのかな」 ちょっと切ない。 「え?じゃあ宿に1人なの?」 「そう…なりましたね」 最悪。 「じゃあ俺泊まろうか?」 は? 「いや、結構です。今日会ったばっかりの人とそんな…」 なにこの人こんなに軽い人なんだ。 「冗談だよ」 「からかわないでください」 もう! 「ほんと優美だけ真面目だよな。他の子はあいつらと遊んでんのに」 あー。 でも私には無理。 そりゃあ一目惚れだけど… 「失礼します。今日はありがとうございました。もう会うこともないと思いますけど、楽しかったです。さよなら」 「おい!」 え?なんで掴まれてんの私。 「なんですか?」 「すっげー冷たくない?もう会うことも無いだなんてさ」 「実際に無いですよね」 「飲み会で会えたのに?」 あー… 「………」 「お友達が俺の仲間と仲良くなっちゃえば、また会うかもよ」 「ないですよ。たぶんあの子たちとスキーにはもう来ないと思いますから」 「そんな薄い関係なの?」 「えぇ。職場の同僚なだけですから」 「自分から壁作る気?」 へ? 「………」 「なーんかほんと変わってんね。自分に自信なさすぎだよ。彼氏いたことないでしょ?」 うっズバッと…… 「彼氏なんていませんよ。別に気にしてませんし」 嘘。本当はめちゃめちゃ焦ってる。 「ふーん。じゃあもしまた会えたら、その時は……いいことしよっか」 はあ? なにこの人。 「会わないですから。それにそんなこと……」 あーダメ。 妄想癖が…… こんなところで発動しないで…… この人の声でもし…… やばい。 「ん?なんか勘違いしてない?いいことって、一緒に滑るってことだけど……」 え? わー! 「かっ勘違いなんかしてませんよ」 「そお?顔赤いけど?なんか想像しちゃったのかと思ったー」 くはぁー。 そんな笑顔で…… からかわれてる私。 「やっぱ面白いね。優美みたいな子初めて会った。また会えるといいね。引き止めてごめん。じゃあね、さよなら」 「さよなら」 行っちゃった。
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