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城ノ内さんが来て、動画を撮っていった。
病院で携帯いいの?って聞いたら、特別だって。
そんなの許されちゃうの?って思ったけど、直樹に見せるっていうから、緊張したけどがんばっちゃった。
「城ノ内さん、直樹は元気?」
「あぁ。もうすぐ会えるよ」
やったぁ。
「直樹からも動画で返信来たりします?」
そしたら嬉しいな。
「あー…ない。俺、男撮る趣味ないから」
あわわ…。
「えー…。私も直樹の顔見たいですぅ…」
元気なら…それで嬉しい。
「ごめんね。そのかわりこれあげる。数分前の直樹だよ」
え?
城ノ内さんの胸ポケットから、1枚の写真が出てきた。
「数分前?」
「そう。ここに来る前に印刷してきた」
印刷?
どこで出来るんだろう…
「……」
でも…ほしい。
見たい。
「これで我慢して。隠し撮りだから、あいつに内緒な」
隠し撮り…
手渡された写真には、あくびしている直樹がいて…
思わず吹き出した。
「ぷっ。おっきい欠伸」
「だろ。その瞬間が撮れた俺すげーだろ」
「はいっ!」
本当にそう思う。
こんな瞬間。私も持ってない。
嬉しい。
そして
会いたい…
写真に頬ずりしたい。
けど…
それは城ノ内さんが帰ってからにしようっと。
「じゃっ、直樹にこれ観せてくるな」
「わかりました。ありがとうございます」
「またね」
「はい」
直樹があの動画観たら、飛んできてくれるかな。
会いたいよ直樹…。
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