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正直、混乱というかショックというか…
またか…というか、結局なんなの?って感じだった。
よくわからないよ。
でも言えなかった。
城ノ内さんと直哉さんの前では………。
怖かった。
だってそうでしょ。
生きていて
生活していて
当たり前に思っていたことが、全部夢の中だったなんて……
もう大丈夫だと思っていたのに…
また繰り返してるんだから。
いろいろあったのに
それも全部……
でも
もう
たとえ今が本当だと言われても
元の生活にと言われても
直樹の居ない生活なんて考えられない。
もう、どこが元なのかもよくわかんないけど。
だから
直樹のプロポーズ
嬉しい。
直樹も一緒に居たいって思ってくれてるってことが、嬉しかった。
本当は会ったこともないらしいのに……。
「帰りたい……」
「ん?」
帰りたいよ。
「私達の家に…」
「………」
「…でも、あそこは無いんだよ…ね」
それが今いる世界の現実。
でしょ。
「帰りたいな。俺たちの家」
「うん」
直樹もそう思ってくれてるんだね。
「こけた俺が言うのもなんだけどさ、まずはまともに身体動くようにしよ。それからゆっくり考えよう」
身体…か。
ついこの間まで普通だったのに。
当たり前なことがすごいんだって、今になって実感してる。
「……」
「大丈夫。今が現実だっていうなら、もう離されることねーから。まずはここに歩いてくること目標にやるよ」
強いね直樹。
私はまだ不安だらけだよ。
「うん」
そう返事はしたものの、漠然とした不安に目を合わせて笑顔なんてことができない。
「優美?」
「ん?」
「俺はここにいる。ここにいるから」
ギュッとしてくれた手が温かい。
その温かさが、生きていることをわからせる。
反面…
夢かも…って恐怖もあおる。
だから…
「直樹…」
「ん?」
「…」
キス…して。
って言いたい。
もっと触れたいよ。直樹。
不安を全部かき消すくらいに……
直樹でいっぱいになりたいよ。。。
「んな顔すんなって」
「え?」
「したくなる…」
「……」
もう。
今までと同じ直樹だって実感しちゃうよ。そのストレート。
「…退院したら、速攻で襲うから。いまはこれで我慢な」
何も言わなくてもくれた優しいキスにホッとする。
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