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「そうですか。一生ね。完治させねーってさ。どうするよ直樹」
どうもこうもねーわ。
そんなんで受けるこいつらもわかんねーし、とんだ疫病神助けたもんだ。
新手のストーカーかよ。
一生そばに置くためなら、手段は選ばないってか。
まあ選ばないってゆーか、これしか思いつかなかったんだろうけどな。
こえーな。
思い込みの激しい女。
っつーかもう……
「はっ。もう無理。おとなしくしてりゃなんなんだか。俺はここのスタッフが最高だと思ってる。それにお前、毎日毎日、臭いんだよ。香水ガンガン振りまいて、そーゆーの迷惑だってわかんねーような女、興味ねぇ」
「そうそう。ここは病院です。なのに気も使えないような人、近づきたくもないですね」
「この際だから、ハッキリ言う」
もういい。
優美を護るために、反感とかやっかみから遠ざける為にもこの女の機嫌とってたけど、限界だ。
「……」
「優美!」
みんなが行方を見守って静かだったリハビリルームに、俺の声が響き渡った。
「ん?」
ぶはっ。
アイツだけリハビリ続けてやがる。
呼ぼうと思ったけど、俺が行こう。
優美、お前を矢面に立たせねぇように俺が守るから。
そんな気持ちを込めて、優美の隣に座った。
「俺の女はこいつだけ。もう決まってんの」
驚きもしないで座ってるなんて流石だな。
「なっ。この間まで寝たきりだったのに、そっそんなわけ…」
あー。
説明はめんどくせー。
「いろんなしがらみ考えて、お前の面会受けてたけど、今からもう出入り禁止。こいつ以外に触られたくもねーし、他の女といるとこ見せて、悲しい顔させんのももう限界。帰れや」
「知ってたの?」
優美が驚いた顔をして俺を見た。
「知らない訳ないだろ。もうそんな思いさせないから。遠ざけて守るよりも、一緒にいて守る方が何倍もいい」
「なーんかどっかで聞いたような気がするー」
「だろうな」
そうだった。
あっちで、なんでも2人で乗り越えるって決めたんだっけ。
なんか調子狂う。
「病院に迷惑ですから、少しあっちでお話しましょうか」
なっ。
城ノ内が、優しめに言った。
こいつがそんなの聞くかよと思ったけど、意外とあっさりで……
あぁそうか。
これも城ノ内マジックか。
わかってたはずのことが、忘れかけていたりするのはなんなんだ?
気を引き締めないと、なんかまたヤバいこと増えそうだ。
っーか、今までの俺って……
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