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「バカで悪かったな」
ガラッとあけられたカーテンの向こうに……
「なお…やさん…」
直哉さんが立っていた。
「んだよ。もうバレたのか」
「わかりますよ」
間違えるわけないじゃん。
「どうした?なんかあった?」
「…ん?特には…」
「そっか。じゃあ特にじゃなければ?だって馬鹿なんだろ?」
あ…まあ…
聞こえちゃってるなら、否定出来ないじゃん。
「ねぇ直哉さん」
「ん?」
直哉さんは、いすに座ってじっとこっちを見た。
「直樹って、本当はどんな人?」
「直樹ねぇ。あいつモテるよな」
って…直樹だけじゃなくて、直哉さんもじゃん。
「2人ともね」
「直樹はさぁ、優美ちゃんと知り合ってからは、ずっと一途だよ。優美ちゃんしか見えてない。それは現実に戻った今でも変わらないから」
う……
わかってるよ。
わかってるけど…
それを作り出したのは…
直哉さん…だよ…ね。
「うん」
小さく返事をするのが精一杯だった。
直哉さんが埋め込んだ記憶…
でもそれが私たちの中では本物になっていった。
だから知り合ってからって言葉は間違ってはいない。
ただちょっと知り合い方が特殊なだけで…。
「俺なら、そんな思いさせないのにな」
「…え」
直哉さんが、私の頭にそっと手を置いて言った。
「直樹なんか辞めて、俺と付きあ……」
「やんねーよバーカ」
わっ。
直哉さんの言葉に被せるようにして、直樹のイラッとした声がした。
いろんな意味でビックリ。
「バーカ。お前の気配したからふざけただけ。双子なめんなよ」
へ?
「俺だっていやな予感して来てみたらこれだもんな」
はい?
なにそのインスピレーション。
「ま、2人でゆっくり話せよな」
「あぁ」
そう2人で会話して直哉さんは出て行った。
なんだったの?
「あーもう」
イラッとした声で言ったかと思ったら、直樹がいきなり私の頭に手を置いてグシャグシャっとした。
「ちょっなに」
「直哉にだって触られたくねーんだよ。俺だってずっと我慢してんのに」
へ?
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