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夏のある日、私は彼に恋をした。
私にとっての初恋で、別れてからも会いたくて、でも会えなくて。
私は1人じゃ外に出歩けない。
婆やが私を1人で外に行かせてくれないの。
出掛ける時は、いつもお嬢様チックな赤い靴。
スカートはふくらはぎまでの長さで、フワッと広がる……やっぱりお嬢様チックなスカート。
「ズボンが履きたい」なんて言ったら、婆やはきっと驚くわ。
いつも御屋敷の中でお人形の様に微笑んでいるのが私の仕事。
でも、彼に出会ってから私は変わってしまった。
彼に会いたくて、コッソリ庭まで出た事もある。
婆やの真剣に怒る姿を見ながら、怒られた事よりも彼に会えない事で涙が出た。
婆やに「彼に会いたい」と訴えた事もある。
でも婆やはフフっと笑って相手にしてくれなかった。
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