第1章

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夏のある日、私は彼に恋をした。 私にとっての初恋で、別れてからも会いたくて、でも会えなくて。 私は1人じゃ外に出歩けない。 婆やが私を1人で外に行かせてくれないの。 出掛ける時は、いつもお嬢様チックな赤い靴。 スカートはふくらはぎまでの長さで、フワッと広がる……やっぱりお嬢様チックなスカート。 「ズボンが履きたい」なんて言ったら、婆やはきっと驚くわ。 いつも御屋敷の中でお人形の様に微笑んでいるのが私の仕事。 でも、彼に出会ってから私は変わってしまった。 彼に会いたくて、コッソリ庭まで出た事もある。 婆やの真剣に怒る姿を見ながら、怒られた事よりも彼に会えない事で涙が出た。 婆やに「彼に会いたい」と訴えた事もある。 でも婆やはフフっと笑って相手にしてくれなかった。
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