18人が本棚に入れています
本棚に追加
ルミナのスカイブルーの瞳に気圧され、ライアロウが前髪を掻き上げ、ひとつため息をつく。
そして、ルミナの前にしゃがみ込んだ。
「ったく……怒ってねぇよ。ほら、いつまでも寝そべってねぇで立てよ」
そう乱暴な口調ながら優しい言葉をかけ、ライアロウがルミナを両手で抱き起こす。
「ありがとう」
ルミナの唇が弧型を描く。
ルミナ自身の意識はないままに。
だから、ルミナは自分の胸を押さえて首をかしげると、ひざまずくライアロウに尋ねた。
「ルミナ、胸が何だかほわんってするの。嬉しい……のかな? ルミナ、あなたの名前知りたい。教えてくれる?」
とうとうライアロウがくっと喉で小さく笑う。
それだけで、ライアロウの纏う空気が雪解けの春のような暖かさを帯びた。
「いいな、お前、おもしれぇ。俺はシュカだ」
シュカは立ち上がり、ルミナの頭をぽんぽんと叩いた。
「シュカさん?」
口の中でシュカの名前を繰り返すルミナ。
そして、ルミナは今度ははっきりと嬉しさを自覚して、フランス人形のように硬質な顔に満面の笑みを浮かべた。
「シュカさん!」
その瞬間、一際大きく噴水が吹き出し、5月の陽射しに輝いた。
最初のコメントを投稿しよう!