ソフトクリーム事件

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 ルミナのスカイブルーの瞳に気圧され、ライアロウが前髪を掻き上げ、ひとつため息をつく。  そして、ルミナの前にしゃがみ込んだ。 「ったく……怒ってねぇよ。ほら、いつまでも寝そべってねぇで立てよ」  そう乱暴な口調ながら優しい言葉をかけ、ライアロウがルミナを両手で抱き起こす。 「ありがとう」  ルミナの唇が弧型を描く。  ルミナ自身の意識はないままに。  だから、ルミナは自分の胸を押さえて首をかしげると、ひざまずくライアロウに尋ねた。 「ルミナ、胸が何だかほわんってするの。嬉しい……のかな? ルミナ、あなたの名前知りたい。教えてくれる?」  とうとうライアロウがくっと喉で小さく笑う。  それだけで、ライアロウの纏う空気が雪解けの春のような暖かさを帯びた。 「いいな、お前、おもしれぇ。俺はシュカだ」  シュカは立ち上がり、ルミナの頭をぽんぽんと叩いた。 「シュカさん?」  口の中でシュカの名前を繰り返すルミナ。  そして、ルミナは今度ははっきりと嬉しさを自覚して、フランス人形のように硬質な顔に満面の笑みを浮かべた。 「シュカさん!」  その瞬間、一際大きく噴水が吹き出し、5月の陽射しに輝いた。
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