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世界の半分をお前にやろう
魔王との最後の戦い
魔力が尽きかけたのか、ボロボロと体が崩れるのも気にせず、魔王はそれまでと何ら変わる事のない人を見下した余裕の笑みを浮かべてそう言った
世界の半分をお前にやろう
俺は何と答えたのだったか
俺たちのパーティーも既にボロボロで、魔王の言う戯言に言葉を返す余裕などなかった気がする
そう遠くない昔の話だ
「勇者様!ボローニャの陥落は間近です!」
「そうか。だが、最後の最後まで気を抜くな」
俺たちのパーティーはギリギリで魔王に勝つ事が出来た
「もう、教会へ行っても死んだ仲間は蘇らないのだからな」
魔力を全て使い果たした魔王の体は、原形を留める事すら出来ず砂のようにザラザラと崩れていった
そして、世界が変わった
魔王が黒い魔力を使う事により、世界には白い魔力が満ちていたのだが、魔王が消えた事で世界の魔力が消えた
地上からは魔物が消え、魔法使いや賢者、治癒者が消えた
エルフや精霊たちは、魔力のなくなった土地には住み難く、次々と別の世界へと旅立って行った
残ったのは人間だけ
そして、魔王を退治して平和の戻った世界で、人間同士の戦争が始まった
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