魔王のいない世界

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 世界の半分をお前にやろう 魔王を倒したあと、俺たちのパーティーは解散した 「……ボローニャはセネルのいた所じゃねぇか」 「アズラエル……。酒臭いぞ。また飲んだのか」 「またじゃねぇよ。まだ飲んでるんだ。魔法の使えない元魔法使いは邪魔になるだけだからな」 パーティーには魔法使いも賢者も治癒者もいたが、魔力のなくなった治癒者と賢者は人間同士の戦争に巻き込まれて呆気なく死んで行った その時、その場にいたのは魔法使いのアズラエルだけで、自分だけ助かった罪悪感から逃れられず、酒浸りの日々を送っている 「セネルは仲間だったじゃねぇか。忘れちまったのか?」 「俺たちは今、セネル王子ではなく、フィラム王子に仕えている」 「フィラムだって……!」 「フィラム王子だ」 皆、仲間だった 「お前の夢は故郷に戻って、畑を耕す事だったんじゃなかったのか?」 国で一番濃い酒を瓶から直接飲み、アルコールに淀んだ目で俺を睨む 「俺は元勇者だ。簡単にはいかないさ。剣の魔力がなくなっても、魔王を倒した勇者という俺がいる事で士気が変わる」 「はんっ……。馬鹿馬鹿しい」 アズラエルは吐き捨てるように言うと、千鳥足で部屋に戻って行った
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