魔王のいない世界

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 世界の半分をお前にやろう 「半分か……」 最近、魔王のこの最期の言葉が頭から離れない 教会へ行っても蘇る事のなくなった遺体は戦場に放置され、魔物の臭いとはまた違う腐敗した臭いが充満するようになっていた 「勇者様!勇者様!」 戦場へ足を踏み入れると、皆疲れた顔に憧れを乗せて俺に声をかける 「勇者様!必ずボローニャを手に入れてみせますから!」 「勇者様!セネルめの首は俺が討ち取ります!」 「勇者様!勇者様!」 ボローニャが陥落すれば、次はエストリアで北にはダンガルが控えていて…… いったいいつまでこんな日々が続くのか…… 俺は確かに魔王を倒した  世界の半分をお前にやろう だが、こんな世界を望んで魔王を倒したのか? こんな風に人間同士で殺し合いをさせるために魔王を殺したのか? ボローニャが陥落したら、俺はもう田舎へ帰ろう 「世界の半分とは、上手い事言ったもんだな」 苦い笑いが込み上げる 魔王を倒す前までは、俺の世界は全て俺のモノだった 今は半分だ……
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