消せない血

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奈緒には不安な思いを させたくないのに。 己の弱さに失笑しながら 俺はそれをはぐらかした。 「なんもねーよ。 早く食え。 寝る前に一回するから」 「はっ?!」 「その生意気な口、 俺ので埋めてあげないと 気が済まねーし」 「…ば…っ…」 言いかけた彼女の言葉を そっと触れさせた唇で塞ぐ。 ──ごめん、奈緒。 やっぱり俺は… どこまでもズルくて 汚い男みたいだ。
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