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「ねぇ朱海……」
「あ？」
「さっきの人、彼女？」
……知らなかったよ。
朱海にあんな綺麗な彼女がいる事を……知らなかった。
こんな事……別に聞きたくて聞いた訳じゃないけど、 気になって聞いてしまったその言葉。
……すぐ反応したように、朱海が呼吸する音が聞こえてきた。
そして、
「違う……」
と言った。
「軽蔑したか？」
と付け足された言葉に、あたしは首をフルフルと振った。
……さっきムカついた訳は、 きっと朱海があたしより先に大人になったからだ。
別にあたしが朱海を好きという事とは、全く関係ない。
……そう、あたしは別に朱海の事なんて好きじゃない。
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