恋の味

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……そんな事を思いながら、連れてこられた正門前。 遠目からでも分かるぐらいの美少年が立っていた。 見た目はまるっきりの女の子、ううんそれ以上に綺麗なその顔。 目はパッチリの二重で、通った鼻筋に肌はすべすべで、ぷっくりと膨らんだ唇。 髪の色は黒なんだけど、元々茶色っぽいのか日に当たると少し赤い。 背はそこまで高くなくて、 あたしより小さな顔が笑顔を作る。 「初めまして、月優ちゃんだよね?」 と言われた笑顔に、ノックアウトしそうになる。 ねぇ人目惚れって信じますか? ……あたしは信じるよ。 出会った時から心に何かを落とされたように、心に何かを埋め込まれたようにドキドキしている。 愛は全てトリックで出来てるの。 種があるから仕掛けもある。 想いがあるから好きになる。 あたしはお姫様のような恋がしたかった。 けど分かるの。 それは物語の中だから、お姫様になれるって事…… そんな事を思わなくたって、あたしは自分で恋を見つけるんだ……! 「は、は、初めましてっ」 と言って、あたしは駆け出していた。 ねぇママ…… あたし、パパを卒業するからね……? ちゃんと恋をするからね……見守っててね―――。 *FIN*
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