恋の味

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朱海ん家は家から10分ぐらいの距離で、走れば5分もかからない。 ……けど大きなお皿を手にしているので、落とす訳にはいかない。 だから、ゆっくりと慎重に朱海ん家に向かう。 ガチャッ! 「雪ちーん!」 朱海ん家にやって来たあたしは、インターホンを鳴らさず入る。 親戚の家だし、よく行く家だし、いつもこんな感じだ。 でも、 しーん。 しーん。 シーン。 玄関に飛び込んでも返ってくる返事は何もなくて、静かな家の中を冷たい空気が通り過ぎていった。 ……留守なのかな? それにしては、鍵だって開いてるし無用心だよね? 「雪ちーん?」 「朱ー海?」 「奈央おばさん?」
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