恋の味

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あたしは玄関の靴にも気がつかないで、二階へ続く階段を上がってみる。 もしかしたら朱海の奴、寝てるだけかもしんないし……。 ……ガチャッ! 「朱海? いないのー?」 と言いながら、朱海の部屋のドアをノックせずに開けるあたし。 けど朱海の部屋は人の気配がなかった。 脱ぎ去られた衣服。 積み重なった漫画本。 ゲーム雑誌とか、水着のお姉さんの雑誌もある。 やっぱり、留守か……。 “帰ろ”、そう思った時だった。 隣の部屋で物音が聞こえたのだ。 隣の部屋は確か、朱海の衣裳部屋だったはず…… 二階には二つ部屋があり両方朱海が使っていて、ちなみにベッドもその部屋にある。 「朱海、居るなら返事ぐらいしなさいよっ」 ……ガチャッ!
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