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「優子、無視するなよ」
頑なに口を閉じ背を向ける私に
痺れを切らした彼が私の肩を掴みかかってきた。
―――痛いっ。
強引に振り向かせようとする
彼の指が私の肩に食い込む。
なりふり構わず叫んで
逃げ出したい衝動に駆られたが、
ここは会社で私は堪えるしかなかった。
「どうかしましたか?」
そんな時、
不意に飛び込んできた声に
私は救われたような気がした。
でも次の瞬間、
そんな気持ちも吹っ飛んでしまった。
「―――佐藤さん……」
その声の主は佐藤さんで、
明らかに私たちの事を
不可解な目で見ていた。
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