溺れる

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 言われた通り会議室に行くと 打合せはすでに終わっていた。  私は書きっぱなしにされていた ホワイトボードの文字を消し、 コーヒーカップを集めて回る。 「川端さんと知り合いなのか?」  不意に飛び込んできた声に私の手が止まる。  振り向き、 その姿を確認すると 開けっ放しにしていたドアの所に佐藤さんが立っていた。 「あ、はい。 川端さんとは同じ高校の先輩と後輩なんです」  答えながら止めていた手を慌てて動かしだす。 「そうなんだ。 親しかったのか? 随分、話しこんでたみたいだけど……」 「いえ、学年違うので……。 ただ川端さんは目立ってたので知っていただけです」  珍しく追及してくる佐藤さんに 内心、ドキドキしながら、 ソレを悟られないように平静を装った。 .
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