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微かにかかった佐藤さんの息がくすぐったくて
一瞬、身をよじってしまうが
「何で嘘をつく必要があるんですか?」
すぐに平静を装い振り返ると、
ニッコリと余裕の笑みを浮かべ返す。
「さあ?
ていうか、その理由を聞いてるんだけど」
どうやら私の嘘は見抜かれてしまっているようで、
ニッコリ笑う私に
佐藤さんは挑むように強気な眼差しを向けてきた。
―――駄目だ、負ける……
動揺でぶれる私の瞳に
気づいた佐藤さんは距離を詰め
一気に追い込みを掛けてくる。
「変な言いがかりは止めてください。
邪魔です」
どうにか逃げようと
距離を詰めてきていた佐藤さんの胸板を押し退け、
途中にしていた片づけを再開した。
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