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オレンジ髪がわざとらしく鼻を押さえて嫌がる素振りをして見せる。
その仕草を見て、横の男は顔を真っ赤にして激昂した。
「んだとコラぁ!」
怒声と共に殴りかかる男に、オレンジ髪の蹴りが先に鳩尾に綺麗に入る。
「あっ、悪い。でも正当防衛はこれで確定だよな?」
うずくまる男を見ても悪びれないオレンジ髪に、後ろの連中が飛びかかろうとするのを城ヶ崎と呼ばれた男は手で制した。
「加賀峰志朗の前に、まず、テメェーを血祭りに上げてやんよ」
「ご託はいいぜおっさん?」
その一言で城ヶ崎の顔が豹変する。
「おれはおっさんでは無い!」
激昂と共に繰り出されたパンチを、オレンジ髪はバックステップで綺麗にかわす。いや、かわした筈だった。
「?!」
衝撃が身体の芯に打ち込まれる。
轟音と共にオレンジ髪は、後方に吹き飛ばされた。
もんどり打って倒れる姿を見て、男たちはニヤニヤと笑い出す。
「城ヶ崎さんの“空爆”の前じゃ、テメェーなんてゴミ屑同然だぜ」
「さっさと消えろよタコ」
嘲笑をバックに城ヶ崎がゆっくりと前に出る。
「三下の出る幕じゃねぇーよ。加賀峰志朗を呼んできな」
ニコリともせず言い放つ城ヶ崎の前で、オレンジ髪は埃を払いながら立ち上がった。
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