一時限目

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出雲も同意する。しかし、ふたりは睨み合ったまま微動だにしない。  しかし、根負けしたのはシーゼルの方だった。 「まあ、いい。ここでは目立ちすぎる。話はそのうちしようぜ」  そう言うと、今度は振り返らずに歩き去った。  歩き去るのを真剣な面持ちで見続ける志朗を、雫は不安げに見つめた。志朗の基本スタンスは適当である。志朗と再び顔を合わせてから、これほど真剣な顔は見たことがない。常に何事にも適当に取り組む姿勢は呆れるほどであった。その兄が真剣な顔をしている。 「志朗、何者だあいつは?」  心配そうに見つめてくる雫を見て、志朗は破顔してその頭を撫でた。訳が分からず不思議そうな表情の妹に一言、 「あいつは探索者さ」  とだけ言った。 (そして、俺は秘宝の番人)  志朗は心の中でそう呟くと、ゆっくりと天を仰ぎ見た。    
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