二時限目

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 昼休み、志朗は気だるそうな表情で生徒会の一室にいた。  他にも同じ風紀委員の正規メンバーがほぼ揃っている。  志朗に雫、出雲ともう一人長身の女生徒がいる。  これに今はいないもう一人が風紀委員の正規メンバーであった。  貴重な昼休みに呼び出されたのは不本意だが、生徒会長のお呼びでは仕方がない。  守 ノ宮学園高等部生徒会長、夕凪鈴音。二年。  この学園の創始者の直系であり、現理事長の孫娘。学園内では理事長権限すら保有し、自動的にこの学園内では彼女の発言権は最高位に位置する。  さらに彼女は容姿端麗、才色兼備と余すところ隙がない。唯一欠点があるとすれば服飾のセンスと言った所か。何故ならば、彼女の顔には大きすぎるスキーのゴーグルの様なサングラスが填められているからだ。  眼鏡と言うよりは仮面に近い。これでは折角の容姿が台無しである。が、一部の女生徒の間では仮面の王子様みたいで格好いいと評判である。雫と違って女生徒に偏った人気があるのはそのせいだろう。 「それでは用件に移ろう」  そう生徒会長が言うと、鈴音の真横に立っている副会長が、目の前の黒檀の机の上に何十枚かの資料を並べていく。  その資料には学生の写真と履歴書、さらに身体調査や何かの実験データの様な物まである。それを見て志朗は大きなため息をついた。 「そうか、もう、そんな時期な訳だ」 「この時期に行われる行事でもあるのか?」  去年の秋に編入したばかりの雫が不思議そうな顔をする。彼女はこの学園に入ってから一年も立っていない。高校生に繰り上がったばかりなので尚更だ。ここにいる他のメンバーは皆二年である。  「この時期に風紀委員狩りがあるんだよ。私も一年の時捕まったもん。不可思議不可思議」  長身の女生徒、春宮乙姫は人差し指を振りながら雫にそう答えた。  182センチの身長にコンプレックスがあるせいか、何かしら可愛らしい仕草で女の子らしさをアピールしようとする妙な癖がある。  だか、その長身があいまって、端から見ると痛々しい限りだ。 「妙な言い回しは止めたまえ春宮。普通に風紀委員の勧誘をする時期だと言えばいい」  生徒会副会長、三嶋時雄は不機嫌そうにそう言うと雫に対して説明を始めた。体育会系の外見に似合わず、性格はかなり細かい。
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