二時限目

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「基本的に我が学園は、ルシファー・チャイルドも一般の生徒と分け隔てなく自由に生活の出来る場を提供している。それ故、力を持つ以上は、その力に責任を持たなくてはならない。残念ながらルシファー・チャイルドの中には一般倫理に反する者が多々いる。それは学園内外両方に言えることだが、そんな者は断じて許すわけにはいかない。我が学園は最低でも学園に関するそう言う事柄を抑制する為に、ルシファー・チャイルドで構成された風紀委員会が存在してる訳だが、問題が発生する前に抑止する効果的な方法がある」 「何か前置きが長くねぇ?」  横からちゃちゃを入れる志朗を一睨みで黙らせると、わざとらしい咳払いをして再び話を開始する。  「その方法は、学園のルシファー・チャイルドを全て同じ組織、すなわち風紀委員にして問題を取り締まる側にする事だ。そして、意識を学園の外に向けさせる」 「学園の外?」   怪訝な表情の雫を無視して、副会長の話は続く。 「集団心理で仲間意識、責任感と連帯感を持たせ意識改革を促す。学園を自分のホームと認識すれば、学園外の問題児の方に意識が向くものだ。外には問題を起こすルシファー・チャイルドが山ほどいるからな。風紀委員は学園近隣の治安維持も仕事の内だ。実際、学園外でのルシファー・チャイルド同士の戦闘は少なくない。力の発散は、そちらで存分に行ってもらおう」 「……?」  不思議そうな顔の雫に、生徒会長は直ぐに助け船を出す。 「団体のスポーツのようなものだ。チームの一員なら仲間内で争うより、敵対するチームと勝負をする方に意識が向く。統計の確率論だがな。情けないがこう言う小細工も、学園の運営には必要なものだ」 そう告げると鈴音は寂しそうな笑みをこぼした。  本意では無いらしい。 「要するに、学園内で起こり得るルシファー・チャイルドの問題の緩和と、学園近隣の治安維持に取り組む人員の増員。そして、ルシファー・チャイルドの管理も兼ねて一石三鳥と言う事ですね」 「雫君は聡明でよろしい」   雫の答えに優秀な教え子を見るように三嶋は満足そうに頷いた。  少ししてから他の三人に視線を移す。 「去年のあいつら三人とは偉い違いだ」
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