二時限目

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「やれやれ」  雫は大きな溜め息を漏らしたが、言葉とは裏腹に表情は満更でもなさそうであった。  亡き母に習った料理が誉められるのは正直うれしいのと、意地っ張りの兄が素直に自分を誉めてくれる数少ない事柄の一つだからだ。 「そう言えば志朗、先ほどの居残り話は何だったのだ?」  ふと思い出す。同じ風紀委員なのに内緒話と言うのは正直面白くない。残りの二人も気になっていたので興味津々だ。 「ああ、あれか……。あれは留学生の話だ。留学生にもルシファー・チャイルドがいるらしいんだけどな、流石に留学生に風紀委員やらせる訳にはいかないだろう? と、言ってもルシファー・チャイルドな以上は注意が必要だ。大手を振って監視は出来ないから、俺だけは気を付けとけって話し」  おおまか嘘では無い話を切り出す。少し考えてから雫は納得したようだった。  この妹はかなり勘がいい。  嘘をつくよりは全容を伝えず、少ない真実を語る方が得策だという事を、士朗は同居半年の期間で学んでいた。 「つまんないの~。もっとデンジャラスな事と思ったのに」  乙姫が箸を噛みながら不謹慎な事を呟く。 それを耳にした雫は、箸を置いて顔を乙姫に向けた。 「今の時期はクラブ勧誘のごたごたや、入学デビューで粋がってる馬鹿な奴らが多いと聞く。気を引き締めて掛からなければ怪我をするぞ」  
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