あとがき

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  距離を詰められてのソレに、思わず笑う。 「彩夏さん?」 「ごめん。その殺し文句、藤谷くんと同じ年齢位の子には伝わらないだろうな。と思って」 「伝わらないだろうね?多分」 結構、凄い事言われてる気がする。 「でも、彩夏さんには伝わるでしょ?」 「うん」 スベテを愛せるなんて、相手を見てない証拠。 スベテを許せるなんて、どうでもいい証拠。 いつも、そこに居た。私。 「藤谷くん」 「ん?」 「私、彼女って響きより、恋人って響きの方が、好きだなぁ」 ポスンと、その胸に額を押し付ければ、 「……なってくれるの?」 「なってもいい?」 ふわりと、抱き寄せられる。 「一足飛びに奥さんでも良かったんだけどね?俺は」 「っ、」 はい?? 思わず、勢いよく離れて藤谷くんを見上げる。 「結婚前提のお付き合いだから。彩夏さんもそのつもりで、ね?」 「……えっ??」 呆然する私、藤谷くんは笑顔で。 最近じゃ、すっかり余裕気味。 「本気で、言ってる?」 「勿論」 即答したよ。 「え?でも、だって、……早くない??藤谷くん、22歳でしょ?」 遊びたい盛りなのではないの? 特にオトコノコは。 うちの24歳の弟からは、未だ、結婚の兆しすら見えてこないわよ??よくオンナノコ連れては歩いてるけど。 「うち、家系的に結婚早いんだよね。両親も姉も20歳で結婚してるから、遅い位?まぁ、養うチカラも無くプロポーズは出来ないから、仕様がないんだけど」 ……なるほど。 いや? なるほど。って納得するとこ??? 「あ、でも。それなりに貯金もしてるから、1年以内には確実にプロポーズするからよろしくね?」 「プロポーズって、予告制なの?」 「彩夏さんのココロの準備が必要かと思って」 ……完敗。 何これ? もう、よく解んない。 「私、一番??」 「何の?」 「藤谷くんの?」 聞いた私に、藤谷くんは笑う。 「俺、大事なのはいっつも一つだけだから。彩夏さんだけだよ?」 あぁ、凄い。 奇跡だ。 神様は、 居るのかもしれない。 [終わり]
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