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「開門!開門!ネクロス様。ジルでやんす。お客様をお連れしました!」
カイザーの屋敷の扉が開く。
中から、粗末なマントに身を包んだ、顔色の悪い、痩せた、背の高い男が現れた。
「久しぶりだな、ジル。ようこそ、お客人。我が主、カイザーの屋敷へようこそ。主人も喜んで居まする。」
エルスは妙な悪寒を覚えた。
カイザーの心臓の持つ、魔法の力に野心を動かされ、カルロンの故郷をたって、辛い旅路にもめげず、はるばるゾットまでやって来たが、ここに来て、初めて後悔の念に打たれた。
もがいても、もがいても、抜け出す事の出来ない、底なし沼に足を踏みいれたような、ぬっとりとした空気が、エルスを包み込み、「おいで・・・おいで・・・」をしている様な、嫌なオーラが、エルスを包容した。
烏の鳴き声に紛れて、老人の笑い声が聞こえたき気がした。
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