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リョウがめでたくユキちゃんをゲットしてから数ヶ月。
ナオの店でウダウダ飲んでいた時。
その日はナオの店も結構混んでて。
女装趣味のナオ。
今日もナオは女装かー。と思いながら。
カウンターで1人、暇を持て余していたら、濃紺の扉が開いて、地味で小さな女の子が入ってきた。
「いらっしゃい。ヒナちゃん、久しぶりね。」
ヒナ、と呼ばれたその女の子は、オレの席から1つ飛ばした椅子に、静かに座る所を、何となく、ホントに何となく横目で見ていた。
「…。ナオサン、ゴッドファーザー下さい。」
え?
見た目からは想像つかないカクテルの名前が出てきて、思わず彼女を凝視してしまった。
驚いたのはナオも一緒みたいで、
「ヒナちゃん、珍しいお酒頼むね。結構強いよ?」
普段は全然使わない男言葉になっていた。
「いいんです。酔いたい気分なんです。」
「…。そう。」
ナオがお酒を作っている間、少し俯いて一点を見つめる彼女。
オレが見ているなんてちっとも気づかない。
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