女神降臨。

2/14
前へ
/212ページ
次へ
リョウがめでたくユキちゃんをゲットしてから数ヶ月。 ナオの店でウダウダ飲んでいた時。 その日はナオの店も結構混んでて。 女装趣味のナオ。 今日もナオは女装かー。と思いながら。 カウンターで1人、暇を持て余していたら、濃紺の扉が開いて、地味で小さな女の子が入ってきた。 「いらっしゃい。ヒナちゃん、久しぶりね。」 ヒナ、と呼ばれたその女の子は、オレの席から1つ飛ばした椅子に、静かに座る所を、何となく、ホントに何となく横目で見ていた。 「…。ナオサン、ゴッドファーザー下さい。」 え? 見た目からは想像つかないカクテルの名前が出てきて、思わず彼女を凝視してしまった。 驚いたのはナオも一緒みたいで、 「ヒナちゃん、珍しいお酒頼むね。結構強いよ?」 普段は全然使わない男言葉になっていた。 「いいんです。酔いたい気分なんです。」 「…。そう。」 ナオがお酒を作っている間、少し俯いて一点を見つめる彼女。 オレが見ているなんてちっとも気づかない。
/212ページ

最初のコメントを投稿しよう!

247人が本棚に入れています
本棚に追加