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「これでよし。タツオ、武器はある?」
9ミリ口径のハンドガンを顔の高さにあげた。黒い銃身がひどく頼りなく見える。
「あんた、それだけしかもってきてないの」
「そういうサイコはどうなんだ」
瑠子さまは目を丸くして、戦場に変わった夏山で怒鳴(どな)りあうタツオとサイコを見つめていた。
「重たい銃なんて、女子がもってくる訳ないでしょ。わたしにはこれがあるのよ」
サイコの手には最新型の情報端末があった。
「ピンクは特注のカラーなんだからね」
林の頭上では大型の無人ヘリが不気味(ぶきみ)に羽ばたき、林の内部ではそこから放(はな)たれた小型ヘリがタツオたちを捜索していた。人間の逃げ足とヘリコプターの速度では比較にならない。ここで迎え撃つしかなかった。
サイコが端末で電話をかけながらいった。
「あと5分だけ耐えて。そうしたら、あのヘリは東園寺がなんとかする」
「どういうことだ?」
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