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「この別荘には垂直離着陸ができる支援戦闘機があるの。スクランブルをかければ、5分でここまでやってくる。軽装備だけど、五王(ごおう)のあんな無人ヘリくらい一撃よ」
オペレーターが電話に出たようだ。サイコは的確に状況説明を行い、出撃依頼を出した。タツオはいった。
「瑠子さまはサイコとここに隠れていてください。枝や草でカモフラージュするのを忘れないように。あのタイプの小型ヘリはまだ白黒映像で、林のなかでは目が利(き)かないはずです」
瑠子さまが必死の目で見あげてきた。
「タツオさんはどうするのですか?」
タツオはなんとか余裕があるような笑顔をつくれた。胸の奥で心臓が破裂しそうな勢いで脈打っている。
「ここを離れて、おとりになります。ぼくにはこれがある」
拳銃を顔の高さにあげる。タツオは射撃があまり得意ではなかった。
「ご武運を」
「ありがとう。サイコ、瑠子さまを頼むぞ」
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