第1章

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◆告白◆ マンションに帰ると、蓮さんはリビングに入った途端私に部屋着に着替えるように促した。 これは、私が体調を崩すといつものことなので大して驚きはしない。 私が風邪をひいたり、お腹を壊したりしたら蓮さんは付きっ切りで看病をしてくれる。 いつもなら、体調が悪く気にする余裕もないけど今日ばかりはそうとも言ってられない。 今日は平日で、当然の如く蓮さんはお仕事の日。 時計の針は、13時近くを指していた。 最近、特に忙しいらしく蓮さんが抜けるとお父さんや他の人達に迷惑がかかってしまうことをそれなりに理解している私は正直、気が気じゃなかった。 早く着替えて蓮さんを送り出さないといけない。 そう考えた私は、大急ぎで部屋着に着替え、蓮さんのスーツやワイシャツなど一式を持ってリビングに戻った。 「蓮さん、早く準備……」 “早く準備して”って言おうとした私は、蓮さんの姿を見て言葉を失った。 「美桜、腹減っただろ?」 私がリビングに戻って来たことを確認した蓮さんはそう尋ねてくる。 「あの……蓮さん?」 「うん?」 「なにやってるの?」 「なにって、昼飯作ってんだよ」 そう、蓮さんはキッチンに立ち慌ただしく手を動かしていた。
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